出雲大社、縁結びのご利益を授かる参拝の心得
縁結びにご利益があると名高い出雲大社。
全国の神様がお集まりになられる神在月の時期はもちろん、日々多くの方が参拝にこられ、縁結びのご利益を授かっておられます。
そんな出雲大社での参拝の心得をご紹介します。
正しい参拝を行い、縁結びのご利益を存分に授かりたいですね!
神門通り→稲佐の浜→鳥居・参道
出雲大社前駅で下車し、神門通りへ(シンモンドオリ)
新幹線だとJR「岡山駅」で乗り換えます。
「出雲市駅」が最寄りですが、出雲市駅から出雲大社までは10km以上あるので徒歩で向かうのはなかなか大変です。
JR「出雲市駅」に着いたら、一畑電鉄で「出雲大社前駅」を目指します。
出雲大社へ参拝される際、電車を使って来られるなら一畑電車の「出雲大社前駅」で降りましょう。
出雲大社前駅で下車したら、神門通りを通って出雲大社へと赴きます。
その他にも、JR出雲市駅より、バス、タクシーなど出雲大社へ向かう交通手段があります。
出縁結び空港(出雲空港)をご利用の場合は下記ご参照ください。
出雲空港から直通のシャトルバスのご案内はこちら
この神門通りには出雲そばをはじめ出雲名物がたくさん並び、また雰囲気もすてきなので旅情気分へと誘われることでしょう。
参拝後には食べ歩きやショッピングを楽しむのもおすすめです。
稲佐の浜で砂を頂く
約1kmある神門通りを歩いていると、その奥に出雲大社の鳥居が見えてきます。
よし心を込めて参拝するぞ!
と気分も高まりますが、じつは鳥居をくぐる前に寄っていただきたい場所があります。
それが「稲佐の浜」(イナサノハマ)です。
鳥居の前を左に曲がり、大きな道沿いに約20分歩くと「稲佐の浜」という海岸が見えてきます。
稲佐の浜に向かう途中には今の歌舞伎にあたるかぶき踊りの創始でもある「出雲の阿国」(いずものおくに)の墓もあり見逃せません。
ここは日本中から神々が集まってこられるという浜で、出雲大社や地域の人々にとって神聖な場所とされています。
また夕景がじつに見事で、2017年に「日が沈む聖地出雲」として日本遺産にも登録されています。
この稲佐の浜で、砂を少し頂きましょう。
この砂は、後ほど使います。
波打ち際など、足跡もないきれいな砂をいただくようにすると、気分も引き締まります。
砂を持ち運ぶ袋は自分で用意しますが、ビニール袋やナイロン袋などなんでも大丈夫です。
大量に頂いたり、砂を頂いたとにできた穴ぼこをそのままにして立ち去ったりと、マナーの悪い行いはやめましょう。
地元民は知っている。神在月限定!絶対に外せない参拝ポイント。
神在月と聞くと出雲大社へ全国の八百万(やおよろず)の神様がお集まりになり、仕事、学業、恋愛など「ご縁」を結ぶ会議が開かれているのはご承知の事と存じます。
しかし、この会議、出雲大社の敷地内で開かれているのではなく、出雲大社より西へ約1キロのところにある出雲大社摂社「上宮(かみのみや)」で開かれているんです。
神在月の期間中、神様方は「十九社」で泊まり、ここ「上宮」で良縁を結ぶ会議が行われているんです。
この、会議を「神議り(かみはかり)」と呼ばれています。
稲佐の浜にお立ち寄りの際は、ぜひ立ち寄っていただきたいポイントです。
しかし、上宮に面した道は狭く、普通自動車1台がやっと。
すれ違うこともできません。
出雲大社から歩く、もしくは、稲佐の浜の駐車場に車を停めるなど注意が必要です。
凛とした、空気を感じながら、出雲の大神様のご利益を授かりくださいませ。
鳥居をくぐって参道へ
稲佐の浜でいただいた砂を持って、いよいよ出雲大社へ向かいます。
来たときと同じ道を進むのも良いですが、神在月に神様が稲佐の浜から出雲大社にお通りになる道があります。
この稲佐の浜から出雲大社の鳥居へと向かう道は「神迎(かみむかえ)の道」とよばれ、普段は何もない通りですが、
神在月の八百万の神様が出雲大社にお集まりになり、縁結びの会議を行っていらっしゃる神在祭の間、通りの両サイドには縄が張られます。
この期間、地元では「お忌みさん」といって、地元出雲の人々は静かに謹んで暮らす事とされています。
事前にルートは調べておくといいですね。
神迎の道ぞいには神話や伝統文化を伝えるスポットがたくさんありますので、ここを散策するのもまた心おだやかになるひと時ですよ。
鳥居についたら、一礼してからくぐりましょう。
鳥居には一般社会と神域を区切る結界の意味を持つともいわれています。
神様のいらっしゃる場所に行くという、厳かな気持ちを忘れないようにしたいですね。
鳥居をくぐった後は、そのまままっすぐ参道を歩きましょう。
神社では参道の中央は神様が通る道とされていますので、真ん中を避け、端を歩くのがマナーです。
出雲大社の参道は全国でも珍しい「下り参道」となっています。
ぜひその特別感を楽しんでみてください。
祓の社[参拝方法について]→拝殿
祓社(はらえのやしろ)で穢れを祓う
下り参道を歩いて1、2分で、小さな社が右側に見えてきます。
この社が「祓社」で、祓戸四柱神(はらえどよはしらのかみ)という4人の神様がお祀りされています。
【4人の神様について】
・瀬織律比咩神(せおりつひめのかみ):穢れを川から海に流す
・速開都比咩神(はやあきつひめのかみ):翳れを海の底で飲み込む
・気吹戸主神(いぶきどぬしのかみ):飲み込んだ穢れを確認し息吹を放つ
・速佐須良比咩神(はやさすらひめのかみ):穢れをさすらって失う
祓戸四柱神が参拝者の罪や穢れを祓ってくださるといわれています。
ご利益を授かる前の大切な行いなので、お忘れないように参拝しましょう。
出雲大社の参拝方法はちょっと独特です!
通常、神社で参拝する際には「2礼2拍手1礼」が基本とされていますが、出雲大社での正式な参拝作法は「2礼4拍手1礼」となります。
これは、出雲大社にて行われる大きな祭典の際に「8拍手」をすることに由来します。
というのも数字の8が無限の数を意味する数字であり、神様に対して無限の拍手で讃えているからです。
大きな祭典のときに「8拍手」をするので、日常のお参りはその半分の「4拍手」で讃えるという理由になっています。
なお、かつては各神社によってそれぞれ参拝作法が違ったのですが、明治40年に「神社祭式行事作法」が制定され、その中で「参拝作法は2礼2拍手1礼が基本」と定義づけされることとなりました。
しかし出雲大社をはじめ、新潟県の弥彦神社、大分県の宇佐神社は例外が認められ、それまで行っていた参拝方法が正式とされています。
手水舎で手と口を清め、拝殿をお参り
祓社で2礼4拍手1礼で参拝した後は、奥へと続く「松の参道」を進みます。
ここにある松は「日本の名松100選」にも選ばれており、とても見事です。
ぜひ静謐な気持ちに浸りつつ、参道を進みましょう。
(↑参道中心あたりから、祓の社方向を見た風景。)
(↑参道中心あたりから、拝殿方向を見た風景。)
写真の鳥居の下に見える参道を中心に、左右舗装された参道があります。
こちら真ん中の参道は神様がお通りになる道となるため参拝者の通行はNGです。
左右に舗装された参道を歩くようにします。
いよいよ、神域へと足を踏み入れますが、その前に手水舎で手と口を清める必要があります。
まず柄杓を右手に持って水を汲み、左手に水をかけます。
次に柄杓を左手に持ち替えて水を汲み、右手に水をかけます。
さらに柄杓を右手に持ち替えて、水を左手で受けて口をすすぎます。
そして左手に水をかけ、最後に柄杓を立てて中に入った水で柄を洗います。
清め終わった柄杓は、元の位置に伏せて戻しておきましょう。
手と口を清めたら、一礼して銅鳥居をくぐり、拝殿へ。
出雲大社 拝殿
ここはご祈祷や奉納行事が行われる社で、戦後最大の木造神社建築ともいわれています。
正面の大きなしめ縄が、一般の神社とは左右が逆になっているのも特徴です。
神社のしめ縄は、一般的に結び始めが太い方を神様から見て左側。
結び終わりが右側に張りますが、ここ出雲大社では、神様から見て右が太く左が細くなっています。
こちらの拝殿でも、2礼4拍手1礼でお参りします。
ちなみに、神職の方々がなさる拝礼は「一拝・祈念・二拝・四拍手・一拝」となります。
神事などみていると4回頭を下げているように見受けられるはず。
ますます厳かな気持ちになります。
本殿→十九社→素鵞社
御本殿を参拝
拝殿を参拝した後は、御本殿に最も近づける門「八足門」から御本殿を参拝します。
なお一般的に「御本殿」というのは御祭神が祀られる場所。
尊い神が鎮座されている場所であるため直接目で見てはいけないことになっており、基本的には扉は閉められています。
出雲大社の御本殿は「天下無双の大廈」と称され、二つと同じものがない壮大な神殿といわれています。
御本殿の高さは約24mにもおよび、日本最古の神社建築様式である「大社造」を採用。
9本の柱で支えられ、その中心は心御柱と称する太柱で、正面向かって右側の側柱との間は板壁となっています。
この壁の奥に御祭神である大国主大神が鎮座されている、御内殿があります。
そして、御内殿は御本殿と同じ南向きではなく西向きとなっています。
反時計回りで十九社へ
御本殿の周辺には大小さまざまな社があり、それぞれ神様が祀られています。
八足門で参拝した後には周囲の社も回って参拝しましょう。
その際、本殿に向かって右方向、反時計回りで参拝して回るのがよいとされています。
この理由には諸説ありますが、御内殿が西向きであり、御祭神の下座から左向きに回ることがよいとされているから、というものが有力です。
八足門から反時計回りで最初に現れるのが「十九社(じゅうくしゃ)」。
東側は「東十九社」、反対の西側には「西十九社」となっています。
ここは神在月に出雲大社に集まられた神々の宿となる社です。
十九社におられる神様は、その間に縁結びの相手を決めてくれるといわれていますので、神在月にご参拝の方は、ぜひ熱心にお参りをしておきたいところですね。
十九社の後に見えてくるのは「釜社(かまのやしろ)」。
お稲荷さんとして信仰されている宇迦之魂神(うかのみたまのかみ)が祀られています。
食物を司る神様ですので、こちらにもしっかり参拝して、食物との縁を繋ぎましょう。
御本殿後方「素鵞社(そがのやしろ)」を参拝
そして、御本殿の後方にまわると、素戔嗚尊(すさのおのみこと)を祀る社「素鵞社」が現れます。
御本殿後方の一段高いところに祀られ、強いご神気を感じる場所といわれています。
なお、現在の出雲大社の御祭神は先ほどお伝えした通り大国主大神ですが、素戔嗚尊が御祭神の時代もじつはあったようです。
創建時は大国主大神であったことは間違いなさそうなのですが、1666年に寄進された銅鳥居に刻まれた銘を見ると素戔嗚尊が御祭神であった記載がなされています。
なお、いつから切り替わったかははっきりとわかっていないようですね。
素鵞社で参拝したら、お社の側面に回ってください。
お社の横側から社の裏側など、社殿の下部分を見ると砂が入った木箱が見つかるかと思います。
ここで、「※稲佐の浜で頂いてきた砂」の出番です。
※の砂を木箱の中に入れて奉納したら、別の場所から再び砂を頂きます。
※の工程を飛ばして砂を頂くだけはマナー違反であり、正しい参拝方法でもありません。
くれぐれも稲佐の浜で頂いてきた砂と”交換”するようにしましょう。
素鵞社でいただいた(交換)した砂は、お守りにしたり、家の敷地の四方(東西南北)に埋めるなど
パワーをいただきましょう。
山の岩肌→拝礼所
素鵞社の裏手から八雲山に触れる
神様が宿るといわれる場所が出雲大社のすぐそばにあります。
それが「八雲山(やくもやま)」と呼ばれる山。
出雲大社の神体山とされ、足を踏み入れることはよくないとして「禁足地」となっています。
素鵞社はそんな神秘的な八雲山の山裾にあり、その息吹をわずかでも感じられる場所としても知られています。
素鵞社の裏側にある八雲山、その一部である大きな岩には触れることが許されています。
ぜひ岩肌に触れてパワーをいただきましょう。
なお岩には大きな裂け目があり、ここからパワーが吹き出しているともいわれています。
神秘的なエネルギーに満ちた裂け目に、ぜひダイレクトに触って何か見えざるものを感じ取ってみてください。
小さな参拝所でお参りを
八雲山の山裾に触れた後は、引き続き反時計回りに歩いていきます。
すると、御本殿西側に小さな賽銭箱と参拝所が見えてくるかと思います。
少し見落としがちなのですが、この参拝所が神様にいちばん願いが届きやすいといわれている場所です。
というのも御本殿に祀られる御祭神が西向きのため、西側にあるこの拝礼所が御祭神にとっての正面となるからです。
ぜひ忘れずに2礼4拍手1礼で参拝しましょう。
ちなみに御祭神がなぜ西向きで祀られているのかは、じつははっきりとわかっていません。
ひとつの説として、御本殿の西側には稲佐の浜があるから、というものがあります。
これは神在月にさまざまな神々が稲佐の浜からおいでになるため、神をお迎えするために御祭神も西を向いているという説です。
こういった豆知識などをガイドさんに教えてもらいながら参拝できる「定時ガイド」も用意されているので、利用すればより一層出雲大社が理解できるかと思います。
定時ガイドでは10:00〜、13:00〜、15:00〜の1日3回、約1.5kmの道を1人500円(90分)で案内してもらえます。
出雲大社はどうして縁結びの御利益があるのか、なぜあちこち大きいのかなど、気になる疑問にも答えてもらえるので、ぜひ利用してみてはいかがでしょう。
素鵞社と小さな参拝所を参拝した次は、昭和56年に造営され、祭典・祈願・結婚式なども行われる「神楽殿」があります。
出雲大社でお馴染みの巨大なしめ縄のあるお社で、こちらもぜひ参拝しておきたいところ。
神楽殿→出雲そば[御師についても]
神楽殿を参拝する
本殿の西側に設けられた参拝所を参拝し、順路に沿って進み、西側に折れると
大注連縄で有名な「神楽殿」が目に入ってきます。
最後は、神楽殿に参拝して出雲大社の荘厳な雰囲気に改めて触れましょう。
そこには、日本最大級の大しめ縄があり、迫力のある風景に心が引き締まります。
大しめ縄の下にて2礼4拍手1礼で参拝すれば、気持ちも新たになることでしょう。
神楽殿は、もともと出雲大社宮司家である千家國造(いずもこくそう)家の大広間として使用されていた場所です。
現在では國造家の大広間として、また出雲大社の神楽殿として、祈祷や結婚式など、さまざまな祭事や行事が執り行われています。
大しめ縄のほか、ステンドグラスを用いた装飾など神社建築としては珍しい佇まいが魅力で、さらに大広間は270畳の広さを誇ります。
出雲大社の大しめ縄の作り方
ここで大しめ縄について少しご紹介しましょう。
大しめ縄は数年ごとに交換される決まりとなっており、新しいしめ縄は島根県飯南町にて1年以上の時間と約1000人の町民によって作られています。
大しめ縄の材料であるワラは、じつは米ではなく「赤穂餅」というもち米。
脂分をしっかりと蓄えた赤穂米のワラは、しなやかで強く、色艶もいいことから大しめ縄の材料として使われるようになりました。
なお、稲穂が実る前にワラを収穫し、乾燥させて使います。
しめ縄の中芯は赤穂米のワラと飯南町産コシヒカリのワラも使用され、直径30cmほどの長い束を何本も作って形作っていきます。
この中芯を作るのになんと1ヶ月以上かかるというから驚きです。
また大しめ縄の飾りである円錐形の「〆の子(しめのこ)」も大きく、大しめ縄の姿形が決まる重要な要素とあって、熟練した職人が丁寧に仕上げていきます。
それぞれの材料が整ったら、いよいよ「大撚り合わせ」といわれる作業に入っていきます。
クレーン2台で持ち上げつつ、人の力で転がしながら撚り合わせる作業はなんと総勢80人、約5時間にも及びます。
出来上がった大注連縄は神楽殿へと運ばれます。
最後には古い大しめ縄が取り外され、新しいものを神楽殿の梁に吊り下げて終了。
出雲大社の神職が紙垂を取り付けて奉納となります。
出雲そばを食べよう
出雲大社エリアの名物といえば、やっぱり出雲そば!
出雲大社へと続く「神門通り」や「神迎の道」にもたくさんのおそば屋さんが軒を連ねているので、ぜひおいしい出雲そばを召し上がってください。
ちなみに、どうして「出雲大社といえば出雲そば」という認識が全国的になったか、ということについてご存知でしょうか?
歴史を紐解いていくと、それは“御師(おし/おんし)”と呼ばれる人の力が大きいようです。
御師とは特定の神社に所属し、参拝者を案内して参拝や宿泊などの世話をする人のことで、今でいうツアーコンダクターのような存在です。
出雲大社の御師たちは、当時出雲で盛んに栽培され食べられていたそばに目をつけ、
「参拝の際には出雲そばを1杯無料で差し上げます」
というチケットのようなものを作り、全国的に出雲大社を宣伝したようです。
こうして日本全国に出雲大社という存在が広まり、加えて出雲そばも有名になったのでした。
地元に住む私たちにとっては当たり前のことですが、他府県の方は初めて知ることも多かったのではないでしょうか。
正しい参拝方法でお参りし、縁結びのご利益をあますところなく授かりたいものですね!
やはり、お土産は本田屋の「出雲そば」ですね。